教育の現場から

■ 中学入試 ニュースに親しんで  SAPIX小学部 広野雅明・教育事業本部長

広野雅明・教育事業本部長

 中学入試では、時事ニュースと関係した問題がよく出題されます。といっても、出来事や人物名の一問一答形式が多いわけではありません。時事問題を踏まえた文章を読んで地理や歴史と関連づけて出題したり、「あなたならどう考えますか」と問うのです。

 例えば東京都の公立中高一貫校・小石川中等教育学校の問題。日本文化に関した文章を読んだ上で、「アニメーションの映画やテレビ番組、マンガ、和食以外で、あなたならどのような日本文化を世界に広めたいと考えますか。一つ選び、選んだ理由と広める方法を具体的に書きなさい」と尋ねました。

 世界に誇る日本文化として有名な語句は、すでに例示されています。「マンガ」や「和食」を暗記しただけでは通用しません。自分なりに考えないと、何も出てこないのです。この場合に考えられる解答は、新幹線や環境などの技術、アイドルや芸人といったエンターテインメント……。交通、社会、メディア、環境など世の中の様々なことが関係するわけです。

 世の中の様々な時事問題に日頃から親しむ上で、新聞は身近な教材です。でも、いきなり1人でスラスラ新聞を読める小学生はいません。写真や4コママンガ、テレビ欄をきっかけに、親が説明してあげるのです。わからないことがあったら、辞書を使って調べることも大切です。子どもの成長段階を考えれば、中学入試は親子で一緒に取り組むのが望ましい。新聞を読ませることも同じです。無理に読ませようとせず、「この写真を見てどう思う?」「どんな記事に興味がある?」と話してみて欲しいです。

 とはいえ、「親が説明してあげること」って、意外に難しいかもしれませんね。新聞記事のような文章は、不特定多数に向けてわかるように書かれているため、目を通しただけでわかった気になってしまいがちです。しかし本当は、写真や文章について驚いた部分、疑問に思った部分で読むのを止めて、なぜそう思ったのかを確認する作業が必要です。子どもだけでは、その作業は難しい。

 「今解き教室」は、新聞に載った写真や記事を改めてテーマ別に編集して作った学習教材です。インパクトのある写真を見たり、記事を使った読解問題を解くことで、子どもたちを途中で立ち止まらせて「この文章の意味、分かるかな?」「文章のこの部分についてはどう思う?」「この写真を見てどう思う?」と問いかける役割を果たしてくれます。その時にはよく理解できなくても、「じゃあ考えてみよう」「調べてみよう」ということができるわけです。この作業を繰り返すことで、世の中の問題について常に考える姿勢を身につけることができるのです。この作業を繰り返すことで、子どもたちは「常に世の中について考えながら文章を読む」癖がついていきます。SAPIXが「今解き教室」を子どもたちに勧めるのは、それが理由です。

 中学入試では、グラフや地図を使った問題も多く出されます。「日本国勢図会」などに載っているものが主流です。「今解き教室」にはグラフや地図もたくさん載っていますので、記事と関連づけて見ていきましょう。

 中学校の先生が子どもに求める力が、昔と比べて変わったと感じます。入試問題を見てもそうです。難しくなっていますが、面白くなっています。知識は、私たち人間が長い歴史の中で積み重ねてきたものです。その知識を単に暗記するのではなく、自分なりにどう考えて使いこなそうとしているのかを見ているように思えます。塾はあくまでも考えるきっかけを作る所です。自分でしっかり考えられる子に育って欲しいと思います。「今解き教室」もお勧めします。