ブックタイトル今解き教室Ｌ２サンプル

概要

今解き教室Ｌ２サンプル

　その海で、最さい初し ょの生命が誕た ん生じょうしたのは、２月17日ごろにあたる約やく40億おく年前。１ 個こ の細さ い胞ぼうだけでできた生物（ 単たん細さ い胞ぼ う生物）だったが、その中から、太陽光を利り用ようして光こう合ご う成せ いをし、酸さん素そ を出す微び生せい物ぶ つが現あらわれた。　やがて、体がたくさんの細さ い胞ぼ うでできた生物（ 多た細さい胞ぼ う生物）も生まれ、環か ん境きょうに応お うじて様々な種しゅに進化していった。　植物や動物が陸り く上じょうに現あらわれたのは、５ 億お く～４ 億お く年前。11月下げ 旬じゅんにあたる。　こうした進化の歴れ き史し を化石で振ふ り返か えると、多くの生物種し ゅが地球上から同時に消える「大だい絶ぜ つ滅め つ」が、ここ５ 億おく年の間に５回起きていたことが分かってきた。最もっとも新しいのは約や く６５００万年前。隕いん石せきの衝しょう突と つなどで大規き模ぼな環か ん境きょうの変へ ん化かが起き、恐きょう竜りゅうを始め、生物の約や く７ 割わ りが絶ぜつ滅め つした。　哺ほ 乳にゅう類るいが栄さ かえたのはその後。サルの仲なか間ま （ 霊れい長ちょう類る い）から人間の祖そ先せんが生まれた。地球カレンダーでは、12月31日14時半になってからのことだ。　 「６回目の大絶ぜ つ滅め つ」　　をもたらすもの　実は現げん在ざい、「６回目の大絶ぜつ滅めつ」が進んでいると考えられている。問題は、そのスピードだ。　国こ く連れんの「ミレニアム生せい態た い系け い評ひょう価か 」によると、最さ い近きん１００年間で生物種し ゅが絶ぜつ滅めつした速度は、それ以い前ぜんの１千倍を超こえる。国こく際さい自し然ぜん保ほ護ご連れん合ご う（ＩＵＣＮ）のレッドリスト（２０１５年11月）では、世界で２万３２５０ 種しゅが絶ぜ つ滅めつ危き惧ぐ種しゅとされ、その５カ月前のリストから４６６種しゅ増えた。絶ぜつ滅め つのスピードは加か速そくするばかりだ。　原げ ん因いんのほとんどは、人間の活動にある。15世せい紀き 、大航こ う海か い時代に入ると、人じん類るいは世界中に進出。新しい土地で暮く らすために森を切り開き、羽毛や毛皮などを取るために動物を大た い量りょうに殺ころした。18世せい紀き 後半の産さ ん業ぎょう革かく命め いで化石燃ね ん料りょうの大たい量りょう消しょう費ひ が始まると、二に酸さん化か炭たん素そ が大た い量りょうに放出され、地球温おん暖だ ん化の引き金となった。　温おん暖だ ん化に伴ともなって、地球の様々な場所で生せ い態たい系けいに異い変へんが起きている。　例たとえば、南国の海の浅あ さ瀬せ を彩いろどるサンゴ礁しょう。サンゴの体内には「褐かっ虫ちゅう藻そ う」という植物がすんでいるが、海水温が上がると褐か っ虫ちゅう藻そ うはサンゴから出てしまう。褐かっ虫ちゅう藻そうの色し き素そ が抜ぬ けたサンゴは白くなり、その状じょう態た いが続つづくと死し滅めつする。そうなれば、サンゴ礁しょうをすみかにしていた小魚は居い場ば所しょを失うしない、小魚を食べる大きな魚も姿すがたを消してしまう。　また、工業化が進むにつれて水や大気が汚お染せんされ、生き物がすめなくなった場所も少なくない。　産さん業ぎょう革か く命め いが起きた時期は、地球カレンダー上では、年と し越こ し直前の12月31日23時59分58秒にあたる。人じ ん類るいは、46億おく年という地球の歴れ き史し の中では「一いっ瞬しゅん」ともいえる、極きわめて短い期間に、地球環かん境きょうを大きく変か え、たくさんの生き物を絶ぜ つ滅め つへと追いやってきたのだ。　それぞれの生き物は独ど く立り つして生きているわけではない。「食べる」「食べられる」という食物連れん鎖さ の関かん係けいなど、互た がいに関かかわり合あ いながら豊ゆたかな生せ い態たい系け いをつくり上げてきた。それが一部でも壊こ われれば、影え い響きょうがどこまで広がるかは計り知れない。　 生物多た様よう性せ いを守る　 国こ く際さ い社会の取り組みと課か題だい　失うしなわれゆく生物の多た様よう性せ いを守るために、国こく際さ い的て きな取り組みが進んでいる。　野生の動植物は人間の食しょく料りょうになるだけでなく、衣い服ふく、医薬品、ペットなど、様々な目も く的て きのために国内外で売り買いされてきた。それが乱ら ん獲か くや密み つ猟りょうを招ま ねいているとして、取引を規き制せいする国こく際さ い条じょう約やくが１９７３年にできた。現げ ん在ざ い、約や く１８０カ国が加か盟めいする「絶ぜつ滅め つのおそれのある野生動植物の種しゅの国こ く際さ い取引に関か んする条じょう約や く」（ワシントン条じょう約やく）だ。輸ゆ 出しゅつ国と輸ゆ 入にゅう国とが協きょう力りょくして国こ く際さ い取引を規き水温が上がり、白化現げん象しょうが広がる沖おき縄なわ・石いし垣がき島じま沿えん岸がんのサンゴ礁しょう＝２００７年８月20